問題77                 


次は、正当防衛及び緊急避難についての記述であるが、正しいものはどれか。

@ 消防署員甲は、消火作業中、煙に巻かれ窒息しそうになったのでやむなく隣家の垣根を壊して難を逃れた。この消防署員甲の行為は、緊急避難に該当しない。

A 急迫不正な侵害であっても、相手が責任能力を欠く心神喪失者である場合、正当防衛は認められない。

B 緊急避難の保護法益として、刑法は自己又は他人の生命、身体、自由又は財産の4種類を挙げているが、通説は、これ以外にも名誉や貞操なども含まれるべきとしている。

C 隣家の猛犬(価格30万円)がA家の庭に入り、A家の飼い犬(価格1万円)に襲い掛かってきたので、A家の主人が隣家の猛犬を猟銃で射殺した。A家主人の行為は、緊急避難に当たる。

D 正当防衛における侵害は、人の不正行為はもちろん、自然の侵害も含む。




























解答と解説

正解はB

@ACDは、誤り。
@の消防署員甲のとった行動は、絶対的に緊急避難が許されないと解すべきではなく、自己の生命、身体に切迫した危難が及ぼうとしているときは、緊急避難を認めるというのが通説であり、消防署員甲の行為は緊急避難に当たる。Aの侵害者が責任能力を有するか否かにかかわりなく、その行為が急迫不正な侵害であるならば、正当防衛行為は認められる。Cの緊急避難が成立するためには、「法益の権衛」(守るべき法益に対し、犠牲になる法益が同等若しくは以下。)が要件となる。よって、この場合は、緊急避難が成立しない。Dの正当防衛における侵害は、人でなければならないので、@ACDは、誤り。












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