　問題９４　　　　　　　　　　　　　　　　

次は、窃盗罪について述べたものであるが、誤りはどれか。

①　デパートの陳列台からコート２点を窃取し、所持してきた紙袋に入れ、店内のレジで精算することなく店内を徘徊していたとき、巡回中の警備員と出会ったため、その紙袋を投げ捨て逃走した行為は、窃盗未遂罪である。

②　自転車内から現金を盗む為、ドライバーで三角窓を持ち上げ、いつでもドアを開けられる状態で発覚した場合は、窃盗未遂罪である。

③　店頭にある靴下を懐中に納めたときは、窃盗の既遂罪である。

④　飲食店のカウンターの上に置き忘れたカバンは、店主の占有にあるから、これを後から来た客が領得すれば窃盗罪となる。

⑤　乗客がタクシーの中に置き忘れた財布を次に乗った客が領得すれば、窃盗罪となる。

解答と解説

正解は①

②③④⑤は、正しい。
①は、既遂時期として、不法に領得する意思で、他人の支配内にある物件を自己の支配内に移せば既遂となるので、窃盗の未遂罪ではなく既遂罪なので、誤り。②の窃盗行為の着手は、占有侵害行為の開始のときであり、着手後発覚し未遂に終わっているので、正しい。③の窃盗罪は、他人の占有を犯して財物を自己の占有に移したとき、即ち自己の事実的支配のもとに置いたときに既遂に達するので、正しい。④は、飲食店のカウンターに置き忘れたカバンが、飲食店の店主の占有に移るので、これを後から来た客が領得すれば窃盗罪となるので、正しい。⑤の乗客がタクシーの中に置き忘れた財布を次に乗った客が領得すれば、窃盗罪となるので、正しい。